Art Deco
The Collection > Art Deco


アールデコとはご存知の通り1925年にパリで開かれた現代装飾産業美術国際博覧会(アール・デコ展)にちなんで名づけられた装飾様式で、キュビズムや東洋美術など幾多の芸術的要素を取り入れた機能美に満ちたデザイン様式のことである。大正末期から昭和初期にかけて一世を風靡し、60年代の再評価以来今も大きな支持を得ているのであるが、このアール・デコ史上にどうして近年になるまでオールドノリタケが登場しなかったのか大いにナゾである。

陶器ではアメリカの陶器に大きな衝撃を与えた1930年代のヴィクトル・シュレッケンゴストやシャルルカトー、そしてクラリス・クリフなどに秀作が見られるものの、磁器では一点もののデコを除きほとんど見当たらない。フランスやローゼンタールなどのドイツ製のフィギュアものが幾分散見されるが、アール・デコの特徴を遺憾なく発揮するラスター彩を多用したオールドノリタケのデコ作品は実に完成度が高く、前者をはるかに凌駕している。

本ページでは、完成度や希少性、そして人気の高いオールドノリタケ・デコ作品を Super DecoとしてChapter Aで紹介しノリタケ・アールデコの再発見の場としたい。これらの作品群は今後ますます再評価され世界のアール・デコ史上に君臨する日もそう遠くないのではないだろうか!?  

Super Deco
Tea Seats
renewal

Conant
Series
(Victorian Lady)


Series
(Flowers)
Plate
(Plaque,Dishを含む)


Vases
renewal
Figural Vases


Covered Boxes
renewal
Dresser Dolls

Powder Boxes
Bowls & Trays
(Pin Trayを含む)

renewal

Powder Puff Boxes
renewal
Original Figural Lamps

Perfume Bottle
renewal
Wall Pocket
renewal


Figural Items T
(Birds)

renewal
Figural Items U
(Others)


GeometricT
GeometricU
renewal

Condiment Sets
(S&P,Jam,Sauce,
Mayonnaise Set,
を含む)


Bone China
renewal

Smoking Items
renewal
Display sign

Easter Eggs
Miscellaneous
renewal


Rare Items
renewal





* ハワード コトラー (Howard Kottler) について

オールドノリタケ・アール・デコに魅せられ、その再発見の端緒を開いたのはアメリカの陶磁研究家ハワード コトラーである。
彼はシアトルのワシントン大学で陶磁史を教える傍ら、1970年頃からノリタケ・アール・デコを収集し始め、彼のコレクションが1982年に『ノリタケ・アール・デコ陶磁器--ハワード コトラー コレクション展』としてスミソニアン研究所とワシントン州立大学によって開催された。そしてその後全米を巡回し、翌年日本に里帰りするのである。下の『NORITAKE ART DECO PORCELAINS』と題するカタログがそのコレクション展のものである。一般にノリタケ・アール・デコはアカデミズムの外から草の根によって評価され、収集の対象となったとされているが、実際はこのコトラー教授をはじめ、現在NCSで活躍するデビッド・スペイン ワシントン大学教授など、寧ろアカデミズムの立場から一般大衆へと裾野が広がっていったことも否定できない。美術史において忘れられていた芸術作品の突然の再発見やその認知を素直に受け入れることへの『躊躇い』がアカデミズムにはあるのかもしれない。


       


* チャールズ・カイザー と シリル・リー

1920年代に世紀末のアールヌーボーに代わって、アールデコが登場しデザインの主役が交代する。モダンデザインで少し遅れをとっていたアメリカはフランス的なアールデコを熱望するようになり、やがてノリタケアールデコがその旺盛な需要に応えてゆくのである。

まず、ノリタケは当時米国のモリムラブラザーズのセールスマネージャーであったチャールズ・カイザーがイギリス人デザイナー シリル・リーを雇い入れ、1919年から1930年の間にジャン・デュパやエルテなどの服飾イラストデザインを参考にして800点以上ものデザインを創作し、それを日本に送ったのである。ノリタケは見事にその図案やモチーフを自分のものとしたのであるが、これらはチャールズ・カイザー や シリル・リーら優れたニューヨークスタッフの手によるものである。時代の最先端をゆくリフェインされ、ジェオメトリックで様式化されたデザイン文様やユニークな着想に基づく奇抜な造形美は、1920年代のモダンなライフスタイルと感性に調和し融合していったのである。