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* 銀彩と銀巻きについて

一般に金彩に対して銀彩という言葉をよく耳にするが、これには誤解を伴っていることが多い。

銀粉を練って磁器に塗り、焼き付ける所謂塗銀焼付けは、製法上さほど難しくないと思われるが、磁器装飾史上稀でニンフェンブルクなどでその作例の一部を見るにすぎない。空気中の亜硫酸ガスと銀が反応してできる硫酸銀のために銀が黒変し、完成時の銀の美しさを維持できないため銀彩は磁器装飾には向かなかったのかもしれない。
一般に銀彩とされているのは、プラティナ彩やシルバーラスター彩、あるいはパラジウム彩である。本品にはパラジウムが用いられ、銀に比べ艶やかさと発色が際立つ。現在、オールドノリタケには銀彩の作例は確認されていない。そして、一般にオールドノリタケの銀彩はこのパラジウム彩を言う。

一方、電解液中のイオン化した銀を陰極に析出させる技術、すなわち電気メッキで作る銀巻きはシルバーオーバーレイ(Silver Overlay)、透かし文様を入れたものはシルバーフィラグリーといい、前述の銀彩とは全く製法が異なる。しかしながら、専門書でさえこの両者を混同している場合があるので注意したい。オールドノリタケでシルバーオーバーレイとされているものの大半は実はシルバーフィラグリーのことである。