▼ Figural Lamp 1
オールドノリタケのランプとして出回っているものの大半はオリジナルのものではない。特にニッポンものの『ランプ』は入や欠けを隠すため、後世ランプに作り変えられられたものである。誰も振り向かなくなったものを蘇生させ、世に送り出すことは大いに意義のあることであるが、ノリタケ自身がランプの笠(国内向けに生産された日陶印の電灯笠のことではない)までつけて販売したものではない。
ノリタケはアールデコの作品の中に稀ではあるが優れたオリジナルランプを残している。この作品はレディーのスカートの部分がShade(ほや)になっており、通常の製品より薄い生地で作られているため電球を灯すとほのかな光がランプ全体をつつむ。
この技術は後に太平洋戦争激化に伴う金属製電灯笠の製造禁止の代用として生産された磁器製電灯笠に転用されている。
裏印は所謂 M‐JAPAN 印。
▼ Figural Lamp 2
前出のナイトランプはデコ全盛期の1920年代〜30年代前半の米国輸出向けのものであるが、本品は時代が少し遡り、裏印が初期マルキ印の英国輸出製品である。(1900年頃) アールデコがこの世に登場したのは1925年の現代装飾・産業美術国際博覧会 (アールデコ展)以降であるから、ノリタケは時代を先駆していたことになる。アールデコという言葉が生まれる前から、ノリタケはありとあらゆる装飾様式を磁器に試み、その下地が既に出来あがっていたことをこの作品は教えてくれる。だからこそ世界に比類ないアールデコ磁器群を世に送り出すことが出来たのだろう。本品は時代が古いため技術的に困難だっためか、レディーのスカートの部分はShadeになっていない。しかし寧ろこのようなナイトランプは作例が極めて少なく、本品を紹介できたことは喜ばしい。
〔 Yataka Collection 〕
〔Seki Collection〕
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