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オールドノリタケ
と昆虫達-カマキリ

オールドノリタケに描かれている昆虫編。今回はオールドノリタケでアールヌーボーの影響と思われる昆虫を題材にしたものの内カマキリを取上げた。

デザインを詳しく見ると

Back Stampについて

    

3.Back Stampについて

 裏印は全てMaple Leaf #52である。 

”アール・ヌーボーは、ヨーロッパ文明の性格を変革しようとする個々の人間による、視覚芸術の
分野における密度の濃い華々しい活動の産物であった。 それは芸術の領域に属するアトリエや
工房、ギャラリーで開始され、 しかし速やかにこれらの枠を越えて広がり、世紀末文化のあらゆる
レベルに見出されるほどありふれたものとなった。新しい世紀の最初の10年間、アール・ヌーボー
はいたるところに存在した。 それは大衆的であると同時にエリートのものであり、愛されるとともに
嫌悪された。”(ノバ・スコシヤ美術大学学長ポール・グリンハルジュ)という引用からも明らかな様
に 1900年初頭に開花した芸術であり”国際主義者によって視覚的なエスペラントと呼ばれるか
と思えば、ケルト人、ガリア人日本人、ラテン人、スラブ人、テュートン人は自分たちに固有のものだ
と主張した。” とあるように、個々の特有な文化に潜在的にあるいは創造的に存在したものからの
影響を受け、結果的にそれらの特有なものをとりいれた融合的な産物と解釈される。
更に”デザイナー達は自然を用いるのにいくつかの方法のうち一つを利用した。もっともありふれた
やり方は、「様式化」の考え方であり、それによって自然は単純化され、。。 しばしば、かたつむり、
蝙蝠、蛙、トンボなど、それ以前の伝統ではデザインのモティーフとしては醜い、或いは不適当考え
られていた動植物や昆虫をモティーフにえらんでいる。” とのべられているように、ガレやドームの
作品にも、昆虫を題材にしたものは多くオールドノリタケにもその影響がでている。
日本においても、古くは銅鐸に描かれているものが見つかっているほか、茶碗や屏風の画材となっ
ている。今回は 螳螂のEwerとTankardでそのデザインを詳しく見てみたい。

どのようなものに描かれているか?

1.デザインを詳しく見ると

2.どのようなものに描かれているか?

この螳螂(Praying Mantis)が描かれているものは今のところ、ここで紹介するEwerと
Tankardが確認されている。Tankardはビール又は飲み物を入れる大きな容器であり、多
くのものがMug(一人用のビール又は飲み物の容器)と組で売られることも多く、このデ
ザインも、Mugがセットの一部としてあったことも考えられるが、現在は確認されていな
い。

この図柄は螳螂が葛の葉について振り向き
様に威嚇の構えを取った様子を描いたもの
と思われる。葛のような雑草についている
のはいかにも自然にありそうな組み合わせ
である。非常に写実的に描かれているが実
際は下書きにそって、泥しょうを一陳など
で絞りだしながら、ある程度立体的な感じ
を出したあと、柔らかい筆などで、滑らか
さを出している。 特に螳螂の胴体や葛の
豆の部分など非常に芸が細かい。

Ewer 25cm(H), 15cm(W)

ガレなどの作品には色々な昆虫が画材となってお
り、螳螂もその一つである。参考に掲載したもの
はガレの作品で、彼らしいタッチで多少デフォル
メされている。
一方、江戸時代の茶碗に描かれている螳螂は月を
背景に一寸ひょうきんな顔つきながら、ゆったり
とした風情を漂わしている。
これらの描き方を見る限りは作品の螳螂は日本画
的に描かれているように見える。

 色鉢 (部分)  ガレ作

秋草蝶蒔絵風炉先屏風(部分)
桃山時代 

月とカマキリ茶碗 保全(江戸j時代)

色合いは薄いかっ茶色、カーキ色
とモスグリーンが下に行くにしたが
って強めになっている。
磁器の生地は非常に綺麗な白で
ある。 構図も下が広いので安定感
があるものになっている。

Tankard: 26cm(H)

正面

裏側面

上面から

Tankardの泥しょうは比較的白く、反面かっ茶色、
カーキ色及びモスグリーンの色合いの濃淡が余
り強くない。 図柄は細長いものに書かれている
ためEwerのものとやや違う感じになっている。

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