第26回INCC コンベンション
in Lexington no.2
2007 July 26-28
第26回INCC コンベンション in Lexington 2007 July 26-28 NO.3
予定よりオークションも早く終わり、井谷さんと木村さんと小生の3人は昼食を簡単に済まそうとファーストフードへ。同じ食べるのなら、やはりケンタッキーに来たのだからケンタッキー・フライドチキン!と相成った。ここでも木村さんの恐るべき嗅覚が冴え渡る。全く場所も何もわからぬまま車を走らすのだが、ものの5分ほどで目的地に着いてしまう。“本場”といっても何一つ日本と変わらないが、妙に3人ともこの昼食に納得。
自分たちで都合つければならない。そこで、新しい日本人メンバーとの親睦を兼ね、みんなで近くの和食レストランへ。ここでも皆さんの世話役は井谷さんである。自ら面倒な仕事を買って出る腰の軽さとその采配ぶりは
演壇での井谷女史とは全く別の顔を持つ。昨夜遅くまでみんなで集まり、ノリタケ談義に花を咲かせていたが改めて各自、自己紹介。あえて不参加の方もおられたが子供も含め、総勢20余名。久々の和食に胃袋が深呼吸しているようだった。
夜にまた、ノリタケ談義に花が咲いた。異国に来てみんなある種、精神的に高揚しているのであろうか、また、多くのコレクターや業者が一堂に会する絶好の機会と捉えていたからであろうか。NCSやINCCのようなコレクターズクラブを作ろうではないかという意見が相次いだ。業者さんの一部にはクラブを自分の商目的に利用する者もいるかも知れないし、形骸化したクラブを上手く利用し別組織を作って自分たちの都合の良い展示会などに利用するとも限らない。良識ある人たちがイニシアチブを取り、オールドノリタケの研究とその啓蒙に貢献できるのであれば、寧ろ積極的に参加してゆきたい。
28日
さていよいよ最終日の今日は随分プログラムが盛りだくさんである。
10時から木村さんのレクチャーが始まる。通訳は井谷さん。一昨日に続きパワーポイントの操作は小生が担当。『国内向けオールドノリタケの裏印について』と題して講演された。オールドノリタケの生産区分を森村組時代とNIPPON期、デコ期の3つに分け、それぞれの作品の特徴を、図解を使ってわかりやすく説明。特にNIPPON期のM in wreath印にはプリントのものとスタンプのものがあり、Maple leaf印の殆どはスタンプでないため前者のほうが古い時代に作られたとされる。
およそ一時間の講演が終わり、ここでIron Nippon Group Contestが行なわれる。
参加者を任意で4つのグループに分け、オールドノリタケに纏わる100問もの問題を短時間で解き、その正答率を競うというものである。竹内さんと井谷さんが随分時間をかけ練った問題である。ごく簡単な問題から徐々に難問になってくる。途中で我われのチームは問題用紙を適当に各人に振り分け分担した。これが功を奏してか成績がトップ。賞品をもらうことになった。
昼食の後は和服の着付けとファッションショーである。アメリカ人コレクターは毎年のように着物は見慣れているとはいえ、着るのは初めてという人が殆どだろう。この企画は竹内さん夫妻をはじめ、彼らの知友人の尽力のお蔭である。着こなしやサイズはともかく素晴らしい体験を皆さんに提供したに違いない。
次は『Eastern Tea Ceremony & Western Cookie Baking Ceremony』と題して東西の喫茶文化を探ろうというものである。我国の茶の湯の伝統や歴史、そしてその形とふるまいや流れ、楽しみ方などは、お茶をたて振舞ったところで到底理解してもらえるものではない。しかしながら、アフタヌーンティーの英国文化と対比することによって互いの文化の相違を認め理解し合えるものかも知れない。400年以上もの歴史を持つ茶の湯と1800年代半ばの当時の朝、夕の2回の食習慣の間食から生まれた英国のアフタヌーンティーとを同時に演出させる試みは大変興味深い。たとえ『わび』『さび』が理解できなくても、スコーンの作り方がわからなくても、日英両国には(ここはアメリカだが・・・)世界に誇れる喫茶文化があり、それを共有していることは素晴らしいことである。小生は作法に自信がないためゲストに回った。
最後の大きなイベントはBanquetである。
すでに大量のラッフルがメンバーたちに売られ、その賞品が待っている。
バンケットはフォーマルなものではなく結構ラフなもので、食事の途中からどんどんジャンケンなどのゲームを通じて着物、帯、浴衣、法被などが賞品としてアメリカ人の手に渡ってゆく。小生や木村さんにも帯や着物が当たったが、わざわざアメリカまで来てそれらを持って帰るわけにもいかず、一旦会に寄付し再度ラッフルで放出してもらったり、親しいアメリカ人にプレゼントしたりした。ハイライトは木村さんがアメリカ人会員の一人が作った素晴らしい手編みの大きな敷物をゲットしたことだ。アメリカ人が喜ぶものが多かっただけに最後にこうした贈り物が上手く日本人の手に渡り拍手喝采。
29日
帰国である。
一緒に朝食を終えた木村さんが親切にも空港まで送ってくれるという。彼は先日荷物を預けた宅急便に荷造りと発送をした後、アンティーキングをして帰国する予定だ。朝の11時14分発なので幾分ゆっくり構えていたら、案の定、車を走らせてからパスポートの入った鞄を部屋に置き忘れているのに気づく。ホテルに戻って急いで車を走らせるとまもなく大きな馬の絵の描いたスタジアムのようなものが目に飛び込んでくる。流石、レキシントン!と叫ぶのも束の間。一向に空港がやって来ない。やがて木村さんの嗅覚でUターンすると、何と先ほどの馬の絵の描いたスタジアムのような“もの”が空港ではないか!
お騒がせした挙句、何とかお蔭で無事に渡米の時と同じコース、デトロイト経由NW3715便で帰国の途に着いた。
今回の約10日間のコンベンションの旅では、木村さんと井谷さんのお二人には、大変お世話になった。いつも気軽に車で移動の足となっていただき、時にモーニングコールまでもらった。また、今回のINCCのコンベンションは竹内さんだけでなく、“フル出場”の井谷さんの功績は誰もが認めるところだろう。通訳、司会、講演、着付け、御手前、ゲームと初参加とは思えない、まさにオールラウンドにわたる大活躍である。彼女なしでは今回の成功はなかったかも知れない。
最後に、素晴らしい充実した旅とかけがえのない思い出を演出してくれたお二人に改めて感謝したい。