第26回INCC コンベンション
in Lexington no.1
2007 July 26-28
さて、INCCコンベンションの初日はFirst-time attendee's orientationといって、初めてコンベンションに参加する数名のメンバーたちに互いの自己紹介と挨拶を兼ね、ごく簡単なオリエンテーションを行なうものである。その趣旨は素晴らしいのだが、一段高い雛壇からの幹部たちの一言メッセージは、少し物々しい権威主義が感じられた。全体ミーティングのときに新しいメンバーの紹介があれば、より一層溶け込みやすかったのではないかと思う。幸い、小生と同じくNCSのメンバーでこのコンベンションにも参加しているメンバーも少なくなく、『The
INCC Journal』で小生の本が紹介され、すでに多くのディーラーたちともメールのやり取りをしていたため顔なじみがたくさんいた。
一時間後、全体ミーティングに移り、井谷さんの通訳で竹内さんの挨拶が始まった。2007年のINCCの会員名簿ではメンバーは254名登録されているが、今回の参加者は100名余りと出席率はNCSに比べるとよくない。どういう訳か長年にわたって会長を務めていたJoan F .Van Patten女史や日本の古参のメンバーたちが欠席されている。一方、日本人初の会長の下でのコンベンションということで、小生のように初めて参加する日本人が多く、去年のNCSの日本人参加者を凌ぐ人数であった。
1時30分から『East Meet West Flower Arrangements』というプログラムで、井谷さんとCille Mathisさんが、オールドノリタケの花瓶を使って東西の生け花を競演するというもの。以前にもNCSで同じようなプログラムがあったが、東西の競演という試みは初めてである。『作品』を前にみんな思い思いの記念撮影。
午後2つ目のプログラムは、井谷さんの『Japanese Porcelain Painting Factories&Trading Companies in the Nippon Period 』小生はプロジェクターの操作のお手伝いをすることになった。画像を講演内容に合わせて送っていくのだが、合図を待つものの、何しろ英語でのスピーチだけにそのタイミングが思った以上に難しい。それに神経を取られ肝心の講演内容がおろそかに。いつもの気さくな井谷さんは演壇上では学者らしく威風堂々と立派に今日のメインプログラムをこなされた。先ほどの生け花といい、初参加とは思えない活躍である。
夕食までの時間はホテル歓待のカクテルサービスがあり、子供たちは着物に着替えお祭り気分に。夕食はバイキングスタイルのものであったが、まず、ジャンケン・ポンで勝ったテーブルから食事にありつけるというルールに始まり、互いに持ち寄った醜いアイテムの中で、みんなでNO.1を決めるといった(これはNCSにもあった)いろんなゲームが織り込まれ、参加者を大いに楽しませてくれる。Ugly
Contestでは我われのテーブルが1位を獲得。また、NCS同様、恒例のラッフルで着物などが賞品として用意されていた。ところで、会場となったホテルは何処も一様にクーラーが恐ろしく効いており、大変寒い。部屋であろうが廊下であろうが広間であろうが、半袖姿では風邪をひいてしまう。多くの人からかなりの苦情があったのも拘わらず、このホテルでも全く同じだ。せめて全米の全ての家屋や建物の温度を5度程度緩和すれば、随分と地球温暖化に貢献できるのではないだろうか。京都議定書を批准しないアメリカの愚かさを垣間見るような気がした。
27日
この日はメインイベントのオークションである。
年々オークションには良いものが少なくなってきているという情報は以前から聞いており、その点はNCSと全く同様である。期待の盛り上げは殆どない。オールドノリタケに纏わる書籍が国内外で20冊以上も出版され、この20年近くの間に随分と認知されるようになれば当然のことかもしれない。運良くネットオークションでお買い得をゲットするか、大物コレクターの放出に巡り合うくらいしかチャンスはないように思える。デコものに比べ非常に出品数が少ない。100点もないのではないか。9時30分からプレビューが1時間。この時間にしっかりと品定めをするわけであるが、大物コレクターの部屋売りでの売れ残りが一部オークションに出品された分、まだ少しは賑わいがあったかもしれない。話題の60センチ級の大きな飾り壷はあまりにも高くて誰も手が出せず結局売れ残った。日本人コレクターの購買力を過大評価しているのか、足元を見ているのか、ごく少数のレア物はとても高くて手も足もでない。
INCCのオークションでは競売人の競りが非常に変わっている。最初の価格で入札者が誰もいなければ競売価格がドンドン下がっていく。やがて、入札があるとその時点で入札者が決まるのではなく、競りを続け最初の入札価格を上回る価格まで引き上げるのである。廉価なものまで一律100ドル、200ドル単位から始まり、価格が上下するため、一点を落札させるのに結構時間がとられる。出品数が少ないためこのような方式が採られたのであろうか?これには一部おとなしい業者さんたちも不平を漏らしていた。小生はお愛想で1点だけゲット。オークションを目当てにコンベンションに参加すると期待はずれに終わることだけは確かなようだ。
井谷さんが素晴らしいコラーレンのC&Sを落札。驚くほど高価であったが、あまりにも素晴らしい作品であったため、わざわざ梱包前に写真を撮らせてもらった。