オールドノリタケと
花-Poppy編
バラのノリタケといわれるほどバラを題材にしたものは数多くあるが今回はポピーを題材にした特定のデザインのパターンを紹介してみたい。
デザインを詳しく見ると
Back Stampについて
ポピーは明治初期に入ってきた芥子科に属する所謂外来植物である。
それまでの桜、菊、ボタンといった日本画の題材には見られない花であり、当時デザインに多くの
エネルギーを注力したオールドノリタケならではの図案デザインであった思われる。
オールドノリタケでもポピーをあしらったものは意外に多いが、 Vaseや食器類にそれらが使われて
いる。
今回の作品群はRC(Royal Crockery: Fine china JVP Mark #80)の所謂高級食器類に使わ
れているマークのついたものである。
当時 外国製品に負けないものを目指して作られた、オールドノリタケ製品のなかでもRC マークの
ものは美しい透明感のある、白の生地に多くの金を使い豪華さを出したものが多い。
これが作られた時期はBack Stampから1911年以降のもので、写実的というより、アールヌーボー
風に描かれている。
同種の図案デザインを様々な形状のものに、描く様はその微妙な構図と図案デザインの違いが、
手書きという固体の違いを超えた面白さがあり楽しみ方の一つだと思う。
今回の作品はそのなかでも、Royal Crockeryと呼ぶに相応しいものであり、マイセンなどの高級
食器類と比べても見劣りのしない、暖か味と豪華さのなかに絵柄の遊び心を感じる作品である。
どのようなものに描かれているか?
2.どのようなものに描かれているか?
このシリーズは Vase等はなく、所謂高級陶器の食器類、カップ&ソーサー、ボール
プレート、シュガー&ミルクジャー、ソルト&ペッパー、コンデンスジャーなどが確認
されている。
筆者もシュガー&ミルクジャーを所有していることから、コーヒーポットなどがあるに
違いないと、探しているが、まだその存在も確認されていない。 当時の広告などから
はコーヒーセットだけでなく、ばら売りもされていたことが伺える事から、あったとい
う確証も得られていない。
どなたかご存知の方がおられたら、BBSなどを通じて教えて頂くと幸いです。
プレートのような丸型の形状のものには帯の柄を思わせる図柄に金彩と紫の
エナメル製のビードをあしらった縁取りがある。内側にいくにしたがって、車座に描
かれた花弁と特徴のある草の部分が渦巻き状に配置された構図になっている。
一方、シュガーポットの胴の部分のような筒上の形状のものには、ポピーが普通に咲いている状態に近い構図になっている。
花弁、草などは透明感のある白い生地に艶のない色で絵付けされ輪郭は金彩が施されて
いる。絵柄は軽妙な筆裁きに熟練した絵付け職人の腕が伺える。
プレート: 直径 25 cm
ボール: 直径 13.5 cm
シュガー&ミルクピッチャー:H 9.5 cm
S&P: H 3.5 cm
C&S Trio: 直径 15cm
ボール: 直径 18.5cm
帯の柄を思わせる縁取り:エナメルと金彩
が美しい
円形の形状の図案の構図
筒状の形状の図案の構図
花弁のやや濃い目のオレンジに緑の葉の
色のコントラストが美しい