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第1回 『華麗なるオールドノリタケの世界』 講演会
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去る4月17日(日)、今やオールドノリタケの宝庫ともいえる名古屋のカフェ&コレクション ジュールにて小生の講演会が催された。
このHPで事前にお知らせする手筈であったが、予想以上の反響と定員がマキシマム50名程度であったためか早々に満席になり手控えざるを得なかった。

復刻版オールドノリタケのぺディスタイルC&Sでケーキや喫茶を嗜みながらオールドノリタケに纏わる話に花を咲かせるというファンにとってまたとない初めての企画である。拙い講演内容にもかかわらず、素晴らしい空間でのひとときは聴衆の皆さんに満足いただけたのではないだろうか?

コレクターの一人として少しでもオールドノリタケの正しい理解とその啓蒙の一助となればそれに勝る喜びはない。ジュールの関係者諸氏にこの場をもってあらためてお礼を申しあげたい。
さて、講演内容であるが、「オールドノリタケとの出会い」「森村組、日本陶器の歴史」「技法、絵付けについて」「裏印について」と大きく4つの内容に分かれ、ノリタケへの関心やファン作りという講演の主旨に照らしてこれからノリタケを収集する方や初めてそれらを手にする方を対象にできるだけオーソドックスな内容に終始した。講演前日に家内を前に“予行演習”を試みたが、ものの20分たらずですやすやと居眠りを始めたのに反し、非常に熱心にメモを取ったりして聴き入っておられた。
また、今回は三渓園の展示会を主催されたメンバー諸氏まで駆けつけていただき、本当にどうも有難うございました。
以下が講演の時に参加者に配布されたレジュメの一部である。


『華麗なるオールドノリタケの世界』

はじめに

 最近はアンティーク雑誌にオールドノリタケが紹介されることが珍しくなくなってきた。
マイセンなどの西洋の一流の陶磁器とともにその人気もうなぎ上りとなり10年前に比べると隔世の感があるように思える。
 
 オールドノリタケとは云うまでもなく戦前に森村組や日本陶器が生産し欧米に輸出した陶磁器群をいい、現在それが逆輸入され「里帰り品」として脚光を浴びているのである。
それは愚直なまでの精緻極まる絵付けに盛り上げをはじめとするいくつもの技法を駆使し、想像を超える造形美が多くの人々を魅了し虜にしているのであるが、オールドノリタケの魅力はそれだけにとどまらない。
たとえばセーブルのコバルトの青(藍)とノリタケの青を同列に見ることができるだろうか? セーブルはマイセンやKPMと同様、王宮の絶大なる庇護の下で究極の贅の追求を可能とした官窯であるのに対して、ノリタケは利益と経営を視野に入れた一民窯という点である。陶磁器を観る場合、作品そのものだけでなく、その歴史や由来等をふまえた捉えかたもあっていいのではないだろうか。
 また、ノリタケの前身、森村組(森村ブラザース)こそが現存する唯一の日本貿易のルーツであり我国の海外貿易の原点である。
殖産振興、富国強兵の旗の下、先人の血の滲むような刻苦精励、粒々辛苦の上に今日の我国の経済発展が築かれたと思うと、手作りの丹精込められた一つ一つのオールドノリタケの作品に畏敬の念を禁じ得ない。

 そして特筆すべきことは、我国のみならず世界の陶磁器史上にノリタケ・アールデコが近年になってその存在を主張し、“再発見”されたことである。我国に立派なそしてとてつもなく素晴らしいアールデコの文化があったのである。
日本とアメリカの文化の狭間で世界の陶磁器史がそれを互いに見出せずにいたのである。
今後この再評価はますます大きなものとなろう。
 
 もう一つ忘れてはならないオールドノリタケの大きな特徴はやはり贋作が非常に少ないことである。真正品より贋作の方が多い西洋の一流の陶磁器に比べ、比較にならない程その率は低く皆無と言えるに等しい。
最近では精妙に裏印が刻印された中国製の贋作が散見されるが、このような贋作への警鐘が鳴らされるようになったのも高級磁器への勲章と捉えるべきだろうか? 
再評価が高まるものに対する言わば宿命かもしれない。

 オールドノリタケの魅力・・・それは限られた時間内でその全容を十分にお伝えすることは出来ないかもしれないが、いつの日かノリタケと対話できる端緒となれば幸いである。
 最後に、午後の昼下がりにお茶を飲みながらこのような素晴しい絢爛豪華なオールドノリタケと共有できるひとときと憩いの空間を私達に提供して下さったジュールの皆さんにコレクターの一人として心からお礼を申し上げたい。
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