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  13th NCS コンベンション Part3
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18日

さて、いよいよ小生のプレゼンテーションの日がやって来た。今日、コンベンションの最終日の午前中は私と木村氏の講演。午後はオールドノリタケ・アールデコの最大のコレクターであるHarmelingさんのお家へお宅拝見。そして、夜はグリーンをテーマにしたFarewell Banquetと終日充実した一日である。

昨夜から何の準備もできず、講演時間の30分前に会場のRainier Roomへ。持ち込まれたプロジェクターとPCをチェックすると案の定、トラブルが発生。プレゼンを作ったソフトがマッキントッシュにどうやら対応していないらしい。画像の一部が映らないのである。そこで木村氏のPCに変更し接続するとバッチリ。渡米前に彼と打ち合わせをした際、彼のPCにプロジェクターのソフトをインストールしていたのが幸いした。結局、準備が完了したのが開始時間ジャストの9時。デビッドさんの紹介もそこそこに場内の殆どの照明が消えた。


去年デビッドさんからプレゼンテーションの依頼を受けた時、言葉の問題でお断りしようと思っていたら、ただコレクションのスライドを披露するだけで十分と聞き、安請け合いしてしまった。あとの祭りである。確かにコレクションの画像や作品そのものが多くを語りかけ、その一つ一つの解説は必要ないかもしれないが、一時間終始無言というサイレントムービーで済ますわけにはいかない。スライドを回すだけでは、ものの10分と持たない。通訳なしでアメリカ人相手に一時間もの講演を行なうほどの英語力は小生にはない。そこで、『The Fascinating World of Noritake in Japan』と題して内容を3部構成にし、PartTはニッポン , PartU はアートデコ, そして、PartVはジュールでの講演会の模様と日本のアンティークフェアーや日本でノリタケを扱うアンティークショップの紹介という内容に変更した。そしてスライドではなくプロジェクターを使い、画像も多用し、レイアウトや構成を充実させて文字にも動きを加えた。イントロダクションを予め英文で画像に流し、拙い下手な英語で各セクションごとの解説を加えていくという手法で何とか1時間を切り抜けた。

PartT、 PartUは2004年に門司の赤レンガガラス美術館で催された『華麗なるオールドノリタケの世界展』の出展作品の主なものに、私のその後のコレクションの一部を加えた作品を披露。詳しくはhttp://www.old-noritake.sakura.ne.jp/plaza/news/news1.html
そして、Part V は3つのセクションに分かれており、まず最初は名古屋のカフェレストランの『ジュール』で行なわれたオールドノリタケの講演会、第1回〜第3回の模様をお伝えした。詳しくはhttp://www.old-noritake.sakura.ne.jp/plaza/topics/index11.html
次のセクションでは我が家で今までオールドノリタケのベースに花を生けた画像を紹介。
最後に東京ビッグサイトや京都骨董際でのアンティークフェアーの模様とオールドノリタケ、とりわけノリタケ・アールデコを扱う日本のアンティークショップをいくつか紹介した。アメリカ人にとって、このPart Vは特に興味深いものだったに違いない。この講演内容を1枚のCDにまとめ、60枚ほどコピーして希望者に無料で配布したが、瞬く間に‘完売’してしまった。講演後、多くのアメリカ人コレクターと握手を交わし、彼らの笑顔や賞賛の言葉にその反響が見て取れた。
さて、次は木村氏の番である。彼の演題は『Classification and Domestic Use of Old Noritake オールドノリタケの分類と国内向け製品』。国内向け製品については、木村さんのオハコであるが、これを英語で解説するとなると並大抵のことではない。英文のレジュメを作成するだけでも大変である。この10月にジュールで講演を行なう水弘氏が適時,同時通訳しながら進められていった。特にオールドノリタケの技法別分類区分と裏印別分類区分には非常に興味がそそられる。会場のコレクターからも次々と質問が出て大変有意義な研修会となった。




さて、昼食を済ませた後、午後からいよいよ、今回のコンベンションのハイライトであるMr.& Ms. Harmeling(サヨさん)の凄まじいまでのノリタケ・コレクション拝見である。
16日のデビットさん宅のときと同様、第一陣のGreen Luster Group と第2陣のBlue luster groupに分かれ、それぞれ決められたドライバーの車に分乗し、時間差でのお宅訪問である。何しろ、100名近いコレクターが一度に殺到するため、このように事前に配慮されている。





日系二世のサヨさんは、今年90歳。一時期お身体をこわされていたが、アメリカ人のご主人とともに、とても元気そうに見えた。
敗戦直後、日本人排斥の下、強制収容所に収監されるといった時代の辛苦をなめつつも、農園をはじめとする数々の事業で成功を収めた、云わば、モデル・マイノリティーのお手本のような方である。私たちコレクターは、みんな尊敬と畏敬の念を持って彼らに接するのである。

2002年にお邪魔して以来、4年ぶりの訪問であるが、またまだ際限なく彼らのコレクションは膨張し、今やおよそ4000点とも言われている。『百聞は一見にしかず』とは、正にこのことを言うのであろう。これら一つ一つの画像に多言を要しないが、この大コレクションを何と18年前の72歳の時から始めたそうである。その情熱たるや並大抵のものではない。そういえば、デビッドさんに、シアトル郊外の小さなアンティーク・フェアーに連れて行ってもらったときに、偶然バッタリとお2人にお会いした。その精力的な収集活動は高齢にも拘らず、ネット・オークションにまで及び、時としてバッティングする時さえある。一体、その情熱は何処から湧き出てくるのであろう。


家内がサヨさんにお土産を手渡し、再開と互いの無事を喜ぶも、束の間。時間を惜しんでコレクションを拝見するが、僅か2~3時間の滞在は、作品一つ一つを観るにはあまりにも短く、全く皆無のように感じられた。

そのコレクションの全容は、たとえば、同じ形状の絵皿であれば、絵柄違いを、また、逆に同じ絵柄であれば、異なった形状の絵皿を収集するという具合に、一つ一つを系統的にコレクションされている。1920年〜30年代の所謂、アールデコ期のもが主流で、戦後のものも意外とコレクションされている。また、非常に珍しい希少性の高いものから一般的なものまで実に幅が広く、ベースやボウル、フィギュアもの、絵皿、ウオールポケットからボーンチャイナに至るまで全くジャンルは問わない。今回参加された日本人の多くは「ニッポンもの」のコレクターが多かったが、ノリタケ・アールデコの魅力を十分に堪能されたのではないだろうか?



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