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14回 NCSコンベンション in Cleveland no.1
2007 July21-24

    



今年は仕事の都合をつけ、アールデコもののコレクターの集いであるNCS (Noritake Collectors'Society) とニッポンもののコレクターの集いであるINCC(International Nippon Collectors' Club)の両方のコンベンションに参加した。
前者はこのところ毎年参加しているのだが、INCCのコンベンションに参加するのは初めてである。双方のクラブが同じ時期(7月末)にコンベンションを開催しながら、いつも一週間程度の日程のずれがあり、その上、開催地が異なるため、余程の時間的余裕がない限り両方に参加することは難しい。しかしながら、今年は日程的に非常に上手く組まれていただけでなく、双方の会場がオハイオ州とケンタッキー州と隣接していたため、幸いINCCのコンベンションにも参加することができた。また、日本人として初めてINCCの会長になった竹内さんへの激励の意味での参加ということもあった。
INCCのコンベンションについては別のチャプターで詳しくレポートすることにし、ここではNCSのコンベンションとケンタッキー州、レキシントンへ行くまでのアンティーキングの模様などをレポートしてみたい。
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7月20日
成田発 デトロイト経由のノースウエストでオハイオ州のクリーブランドへ。シカゴ経由で現地入りした方が多かったが、小生は乗り継ぎ時間の少ないほうを選んだ。それでも家からホテルに着くまでほぼ丸一日。時差の関係で着いたのは同日の午後7時過ぎ。これから2〜3日は時差と格闘しなければならない。案の定、激しい頭痛がやってきた。

翌21日、レジストレーション以外は夜のSilent Auctionまで何もないので、タクシーを飛ばしてクリーブランド郊外の自然史博物館へ。土曜の昼下がりというのに人影もまばらな館内は、我国の大都市でさえもないような立派な展示内容。巨大な草食恐竜の化石をはじめ、見ごたえは十分。そして博物館の周りの緑には大きなリスが戯れている。先進国で最も人口高過密な我国の自然環境から想像しがたい。
さて、待ちに待ったSilent Auctionである。これは23日に行なわれるライブオークションと違って、競売人不在で、各アイテムに希望価格を記入してゆき、最高価格を記入したものが落札者となる。詳しくは前回のNCSコンベンションのレポートを参照いただきたい。
http://www.old-noritake.sakura.ne.jp/plaza/news/NCS.html
22日 
この日の朝はサリーさんのSmoke と題するプレゼンテーションで、喫煙アイテムにおける様々なデザインやイラストをご自分のコレクションだけでなく、小生の本やこのサイトをも含むあらゆるソースから引用し、比較対照を試み検証されていた。実に上手く編集されており、英語の不自由な我われにも綺麗な画像を通して十分楽しめるものであった。

ミーティング時にデビッドさんから来年の日本への旅行の企画が提案された。
前回2004年のときと同様、20名以上の参加者を募るという。デビッドさんは個人的な旅行を含めほぼ毎年来日しているが余程日本がお気に入りらしい。以前と違い九州、長崎方面にまで足を伸ばし温泉にも宿泊するという。
昨日の彼からのメールでは、今年来日した際に撮った1000枚を越える画像を郷里のオハイオ州の実家で50名もの人を集め披露するという。そうそう、そのときのレポートもアップしなければならない。(いつになることやら・・・)
午後は元INCCの会長を務めたナットさんの講演があったが、親しい日本人仲間全員でエスケ-プし、クリーブランドのダウンタウンへ。実は後で参加するINCCのコンベンションでナットさんと再会した際、彼は親切にもこの講演で使ったプレゼンテーションのCDをお土産に手渡してくれた。この場を借りて失敬を侘びお礼を言いたい。

さて、まずはロックンロールの誕生の地のRock and Roll Hall of Fame and Museumへ。ロックミュージックのファンなら垂涎の的となるところである。自分の嗜好する音楽でその人の世代がわかるが、1970年代のイーグルスあたりが懐かしい。ロックンロールのルーツから最近のロックまで、随分幅広くいろんなものが展示されてあったが、やはり目につくのはジミヘン、プレスリー、ストーンズ、そしてビートルズといったところか。ここがJazzの殿堂であれば小生にとってもう少し長居できたかもしれない。
この付近一帯はちょっとしたメモリアル地区のようになっており、近くではいろいろと催し物があったが、我われは興味本位で港に停泊していた潜水艦に乗り込んだ。太平洋戦争で‘活躍’したU.S.S. CODとよばれる潜水艦がいわば博物館として海上展示されているのだ。36000トン以上の日本の商船や軍艦を沈めたとあり、撃沈した船の数と同じ数だけの軍艦旗が誇らしげに並べてあった。犠牲となった同胞を思うと、なんともいたたまれない気持ちである。そこには米国海軍の誇りと功績だけが謳われ、戦争の悲惨さを訴えるものは微塵にもない。世界中で戦禍が絶えない所以がこういったところにあるのかもしれない。
今回のNCSのコンベンションで特筆すべきことは、デビッドさんのお父さんがかなりの高齢にも拘らず、元気に参加されていたことである。そしてまた、ノリタケ・デコの大コレクターで、今年の冬に伴侶のサヨさんを亡くしたハーメリングさんも参加されており、その蒐集への情熱はいささかも衰えてはいない。

ダウンタウンの周遊から帰ってきた我われは、オープニング・バンケットまでのマネージャーズ・レセプションに参加。ホテルのラウンジでカクテルなどを飲みながら希望者は似顔のサービスを受けるというものだ。即興で筆を持つ間も被写体を常に笑わせる巧みな話術もその作品に勝るとも劣らない。木村さんとデビッドさんと3人でそれぞれの作品を交換しながら記念撮影。
いよいよバンケット、晩餐会である。といっても決して堅苦しいものではなく、ラフなスタイルで会場の片隅では先ほどの似顔絵も引き続き描かれている。和やかな食事が一段落した後でラッフル(番号つきのカラフルな券を参加者に売り、その番号が当たった人に賞品を渡すくじ)が行なわれ、賞品である着物や帯をすぐさま身に着けさせられる。身の丈やサイズに拘わらず、お構いなしに羽織るのだからご覧の有様。寧ろ、これがメインイベントといってもいいくらい滑稽で文句なしの楽しいひと時である。NCSにはこういった、はるばる日本からやって来た疲れを十分に癒してくれる“仕掛け”や気配りが随所に目にすることができる。たとえば、レジストレーションの時に配布されるスケジュール一式の中には、Embassyホテルのお勧めのグリルや近隣のお勧めレストランの住所、電話番号一覧。勿論、ライブオークションやサイレントオークションのFAQ質問事項、参加者のネームタグ、部屋のプレート、参加者メンバーの住所からメールアドレス一覧までといった具合である。これらは、デビッドさんやリタさんなど僅か数名の主要メンバーの献身の賜物である。